SUBARU のデータ活用−1 基盤構築から Google 広告との連係までの 8 年間について
昨今、多くの企業がファーストパーティ データの活用に向けて注力している
そのためには、社内での合意形成やデータを収集するための仕組みづくりなど、さまざまなハードルがあるのも事実
株式会社SUBARU もいくつかのハードルを乗り越えながらデータドリブンなマーケティングに向けて、準備を進めた
商品の機能だけでなく、情緒的な価値を通じて顧客と深い関係を築くことを重視している SUBARU
ファーストパーティ データの活用は、顧客をさらに理解し、より良い顧客体験を提供するための重要な柱の 1 つとなっている
データ基盤の構築に着手した のは2016 年
Google 広告とのデータ連係を進めている現在までの取り組みを、順を追って紹介
推進、邁進してきた安室敦史さん
メーカーとディーラー間、部門間でバラバラだったデータ
データをマーケティングに活かすためには、あらゆるデータを統合して分析できるマーケティング基盤が欠かせないがSUBARUの取り組みも、ここからスタート
それまで、顧客が自動車の購入を検討してから購入するまでの各接点でのデータが分散していました。
たとえば、オンライン上での来店や試乗の予約、カタログ請求といったデータは、当社が保有している一方で、多くの人が実際に車を購入するのは、SUBARU のグループ会社などが運営している販売店(ディーラー)。
そのデータはディーラーの業務支援システム内に蓄積されていたため、検討段階のデータと実際の購買データを合わせて分析することが難しい状態。
SUBARUとディーラー間だけでなく、SUBARU内でもデータが複数に分散。
マーケティング、販促、メンテナンス用のアフターパーツなど、部門ごとにデータを収集管理していたため、顧客のログイン ID なども複数存在していたのです。
バラバラだった顧客データを「SUBARU ID」を軸に統合
まずはあらゆるデータを統合した「統合マーケティング基盤」の構築に取り掛かる。
構想がスタートした 2016 年当時
今ほど DX やデータ活用を進める機運が高まっておらず、SUBARU社内にその必要性を理解してもらうには丁寧なコミュニケーションが必要でした。
どの部門の担当者でも理解しやすいように、「サードパーティ Cookie」などの専門用語を使うことなく、時間をかけて説明をしました。
またデータ活用による最適化はコスト削減につながることはもちろんですが、経営層に向けてはそれ以上に、新規顧客の開拓にもつながるという点も強調。
社内の理解を得ながら、翌 2017 年に当社内で顧客データの取得を開始。ディーラーの業務支援システムにあった顧客データや、車両オーナー向けのアプリで取得したデータを収集しました。
そして 2020 年には、これまで分散していた顧客情報を「SUBARU ID」として統合。
SUBARU ID は、ディーラーを含めた共通の ID 基盤で、SUBARU グループのあらゆる会員サイトで使えます。
これにより、Web サイト上の閲覧傾向はもちろん、ディーラーで試乗した際の反応やその後購入に至ったかまで、カスタマージャーニー全体で顧客の行動を把握できます。
SUBARU ID の管理には
「Treasure Data CDP」を活用している他、
「Tableau」 などの分析ツールでデータを可視化。
機械学習によって購入確率が高い行動パターンを分析し、それをディーラーとも共有することで、営業活動にも活かしています。
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