SUBARU人:SUBARUびと なぜスーパー耐久レースに挑戦するのか?

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SUBARU BRZ(以下、BRZ)をベースとしたレース車両「Team SDA Engineering BRZ CNF concept」で参戦しているスーパー耐久。 なぜ今SUBARUがレースに挑戦するのか?
チームを取りまとめる本井監督にインタビューしました。
話を聞いてみえてきたのは、スバルのレース参戦は単なる競技ではなく、
技術開発・環境対応・人材育成・他社協業」を一体化した未来への取り組みと言えるのではないでしょうか?

本井 雅人(もとい まさひと)

1991年入社。SUBARUの研究開発拠点である群馬製作所、パワーユニット開発を担う東京事業所、双方の研究実験部を経験。ドライバビリティ、ブレーキ・VDC、トランスミッションなどの開発に従事する一方、エンジニア育成のためスバルドライビングアカデミー(SDA)を創設、運営中。2019年よりスバル研究実験センター(SKC)センター長として技術面の情報発信も行う。
初代BRZ/86の開発では、動力・車両の操縦性・トランスミッション、そして後期型からはブレーキ・横滑り防止機能などを取りまとめた。趣味はクルマいじりとガーデニング。どちらも道具と仕上がりに拘る。ラリードライバーの新井 敏弘氏とは、群馬大学自動車部の同期。

まずは、参加するレースの詳細を教えてください
スーパー耐久(S耐)は市販車をレース用に改造した車両など、様々な規定でつくられたレースカーがクラス分けされ競う耐久レースです。 3~5時間(2022年シーズン 第2戦の富士では24時間)の耐久レースを年間7戦、競い合います。

食用ではないバイオマス*1由来の成分を合成した「カーボンニュートラル燃料」(以下:CN燃料)を使用したBRZ で、「ST-Q」クラス*2に参戦します。
私たちの他にも、トヨタさんからは同じくCN燃料を使用したGR86と水素エンジンのカローラが、マツダさんからはバイオマス・ディーゼル燃料を使うMAZDA2*3などが参戦しています。




どのような体制でS耐に参加しているのか?

普段は量産車を開発しているエンジニアがレース車両の開発を行っています。 これは、自身の専門領域を飛び越え、クルマ1台を広い視点で見られるエンジニアの育成を狙っているからです。 また、レースで得た知見を将来技術の開発につなげることも重要視しています。 加えて、レースではクルマづくりの一連の流れが、通常の量産車開発では考えられないほど速いスピードで回ります。 納期が延びることもありません。 そのスピード感を経験することも、人財育成につながると期待しています。







CN燃料で走る目的とは?
“電動化”に留まらない、カーボンニュートラルを実現する選択肢を増やすことが主目的です。 CN燃料を活用すれば、SUBARU独自の水平対向エンジンを残せる可能性も高まります。
開発当初はCN燃料でちゃんとエンジンが回るのか心配でしたが、今ではしっかりとレースを戦えるレベルまで成長しました。 今後もSUBARU単独でレース車両の改良を続けるだけでなく、トヨタさんと協調・協業を深め、“内燃機関から見た理想の燃料”を目指し、燃料の改良にもアプローチしていきたいです。

S耐ではトヨタさんとどのような協業を進めてきたのか?
トヨタさんとの関係は、協調領域と競争領域があって、開発は共同で行っているところもあります。
たとえば、ロールケージ*4・ボディ補強・レース用燃料タンクはトヨタさん主導で設計し、基本的には同一仕様になっています。 燃料ポンプは、レース用燃料タンクにマッチするようSUBARUのエンジニアが図面化して、両車の燃料タンクにビルトインしました。
ただ、BRZのロールケージとボディ補強には、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)の考え方を織り込んでいます。 またロールケージにはアイサイトを取り付けられるようなオリジナル形状を採用しました。 2022年9月にに行われた第5戦では、実際にアイサイトを搭載し、レース中のデータを取得しています。 そこで得られたデータを基に、将来的に「モータースポーツにおけるアイサイトの新しい価値」をお客様に提供できないか検討しています。

ロールケージ*4:クルマが転倒したりボディが変形してしまうような大きなクラッシュの際に、乗員を保護するために室内に張り巡らせるパイプフレームのこと。

詳細はこちら→

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