SUBARU、新たな人財サービス会社「SUBARU nw Sight」を設立 ─ 労働力不足に挑む新戦略とは?
2025年4月24日、SUBARUは、日総工産株式会社および株式会社ワールドインテックと共同で、人財サービスを手がける新会社「株式会社SUBARU nw Sight(スバル・ニューサイト)」を設立することを発表しました。
100年に一度の大変革期といわれる自動車業界。EV(電動車)、自動運転、コネクテッド技術といった次世代技術の急速な進展に加え、日本国内では少子高齢化による労働力不足という構造的課題が深刻化しています。
特にモノづくりの現場を支える人財の確保・育成は喫緊の課題です。SUBARUはこの状況を受け、サプライチェーン全体の強化と生産活動の持続性確保を目的に、新会社を通じた新たな人財スキームの構築に踏み切りました。
3社が強みを結集
「SUBARU nw Sight」は、SUBARUが推進する「ひとつのSUBARU化」戦略に基づき、協力企業と一体となって人財の採用・育成を効率化することを狙います。
合弁相手の日総工産とワールドインテックは、ともに製造業向け人財サービスにおける実績が豊富な企業であり、強い採用力、営業力、人財育成ノウハウを有しています。両社の持つノウハウを融合させることで、より多様で高品質な人財の提供が期待されます。
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社 SUBARU nw Sight |
所在地 | 群馬県太田市飯田町1183‐1 |
資本金 | 3億円 |
出資比率 | SUBARU(34%)/日総工産(33%)/ワールドインテック(33%) |
事業内容 | 労働者派遣業、有料職業紹介、請負事業 など |
設立日 | 2025年6月2日 |
事業開始予定 | 2025年9月1日(予定) |
人財の未来を描く
新会社の設立により、単なる人員補充にとどまらず、教育やリスキリングを通じた自己価値向上の支援、多様な人材が活躍できる場の創出など、「労働の新しいカタチ」を提案することが目指されています。
これは、労働力不足という課題に対する一時的な対応ではなく、中長期的な人材戦略の転換点ともいえる重要な一歩です。
日総工産株式会社とは・・・
1980年に設立された神奈川県横浜市港北区に本社を置く、製造業向け人材サービスのパイオニア的存在です。主にエンジニア派遣、製造派遣、人材紹介、製造請負などを中心とした多様な雇用支援サービスを提供しており、製造業を中心とした企業の人材ニーズに的確に応え続けています。
高い採用力と営業力を強みとし、全国に広がる拠点網と豊富な人材データベースを活かしたマッチング力に優れており、多くの製造現場で信頼を獲得しています。また、労働環境の改善やキャリア支援にも積極的に取り組み、社員教育・研修制度も充実。製造業における人材育成のノウハウに定評があります。
さらに、コンプライアンスを重視した運営体制も特徴で、労働法令の遵守や安全衛生への対応にも万全を期しています。親会社であるNISSOホールディングス株式会社(東証プライム上場)のもと、安定した経営基盤を持ち、持続的な成長を遂げています。
「人と企業を技術でつなぐ」を使命に、モノづくりの現場を支える人材のプロフェッショナルとして、製造業の未来に貢献し続けることを目指しています。

株式会社ワールドインテックとは・・・
株式会社ワールドインテックは、日本の人材派遣およびアウトソーシングサービスを提供する企業で、主に製造業やIT業界を中心に幅広い業種に対応しています。1998年に設立され、東京を本社に、全国各地に拠点を持つ同社は、企業の人材ニーズに応じた最適な派遣サービスを展開しています。主な業務内容は、人材派遣、業務請負、システム開発、技術支援などであり、特に製造業に強みを持つ一方、IT分野やエンジニアリング分野でも実績があります。
ワールドインテックの特徴的な点は、単なる人材派遣にとどまらず、企業が直面する複雑な人材戦略や業務改善に対するコンサルティングサービスも提供していることです。これにより、顧客企業は単なる派遣ではなく、長期的な視点で業務効率化や品質向上を目指す支援を受けることができます。
また、社員のキャリアアップにも力を入れており、研修やスキルアップ支援を通じて、派遣スタッフが専門知識や技術を身につけられるようサポートしています。このように、ワールドインテックは派遣スタッフと企業双方のニーズを満たすことを目指し、成長し続けています。
社会貢献や環境への配慮も企業理念に掲げ、持続可能な経営を実践しています。

製造業の未来を支える新しい人財サービスがはじまる
今回の発表は、自動車業界が直面する大きな変革に対応するための重要な一歩となります。
特に、少子高齢化や労働力人口の減少が進む中、企業が持続可能な成長を遂げるためには、労働力の確保と育成がますます重要になっています。新たに設立される「株式会社SUBARU nw Sight」は、日総工産とワールドインテックといった人材サービスの大手と連携し、製造業に特化した効率的な人財サービスを提供することを目的としており、その取り組みが業界全体に与える影響は大きいと予想されます。
この新会社は、単に人材を提供するだけでなく、派遣スタッフのキャリアアップやスキル向上を支援する仕組みを構築することで、労働者のモチベーションを高め、企業の競争力強化に貢献することを目指しています。また、製造業全体での人財スキーム構築を進めることで、今後の生産活動の変化に柔軟に対応できる基盤を作ることができるでしょう。
SUBARUが強調する「ひとつのSUBARU化」という理念は、企業の内部だけでなく、サプライチェーン全体における連携を促進し、より強固なネットワークを形成することを意味しています。このような新しい取り組みは、社会的な課題を解決するだけでなく、日本の製造業をさらに革新させる原動力となるに違いありません。
グローバル競争が激化する中、技術力と同等に“人財力”が企業の競争優位性を左右する時代。
SUBARUの動きは、製造業全体が抱える課題に対し、一石を投じる挑戦として注目されます。
今後、「SUBARU nw Sight」が果たす役割と成果に注目が集まりそうです。