SUBARUに学ぶ、顧客起点マーケティング

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デジタル時代への突入により、コミュニケーションが多様化する中、マーケティングの手法も乱立

一体、何が変わったのか、また変わらない本質は何なのか。P&Gジャパン執行役員を経て、現在M-Force代表を務める長氏が、経営者やCMOなど、マーケター業界の最前線で活躍する人物を訪ね、「施策(HOW)の効果を飛躍的に伸ばすWHO/WHATの設計方法」についてディスカッションを行い
「顧客戦略」の考え方や実践例などを探っていく。
今回はSUBARUの安室敦史氏をゲストに迎え、顧客起点マーケティングについてうかがう

長:今回は、顧客起点マーケティングを実践されているSUBARUの安室敦史さんをゲストにお迎えしました。最初に自己紹介をお願いできますか。

安室:2008年にSUBARUへ中途入社後、ディーラーへ出向、3年半販売現場を経験しました。2011年に本社に戻ってきた後はマーケティング部門にて主にオフラインマーケティングに従事。その後、Webトリプルメディアの運用を4年担当しました。

近年は社内のデジタルトランスフォーメーションを担当しCDPやMA、アプリ、統合ID基盤の導入など、デジタルマーケティング基盤を構築。現在は新規獲得とリテンション、それぞれを担当する部署の両方をマネジメントしています。



長:自動車業界は、EVや自動運転など大きな変革期にあると思います。変化する顧客ニーズに対応してどのような戦略を描くべきか、各社にとって大きな課題のように見えます。業界において、SUBARUさんがどのようなマーケティング戦略を描かれているのかお聞かせください。

安室:当社の場合、国内シェアは5%ほどしかないため、資金力がある大手メーカーとは違う戦い方をする必要があると考えています。そのため、SUBARUだからこそ提供できる価値、つまり独自性をお客様に提供することを目指しています。

長:「スバリスト」という言葉があるように、もともとSUBARUさんにはその独自性に魅せられたコアファンがついているイメージがありますが、従来と今では戦略に違いがあるのでしょうか?

安室:2015年、2016年にコミュニケーション戦略を変えました。2010年5月に「ぶつからないクルマ?」でプロモーションを開始した運転支援システム「アイサイト」の売れ行きが非常に好調だったのですが、徐々に他社から似たような機能が出始めたため、当時は差別化を図る必要があると考えたのです。


試行錯誤を重ねた結果、改めて大切だと感じたのがお客様と向き合うこと。競合を意識してやるべきことを探すのではなく、お客様に聞くことが大切なのだと。そこに気づいたのが2017年頃だったと思います。

長:たしかに、どんなに市場が変わってもお客様を起点に考えていればブレることはありませんよね。顧客起点マーケティングは、社会やお客様が変わっても有効な方法だと思います。顧客理解はどのように進められたのですか?

安室:実際にお客様の声を聞いたり、全国各地のトップセールス20~30人に話を聞いたりしました。そうすると共通点が見えてくるのです。ヒアリング後に皆で分類・整理するにつれ「このようなお客様に対してこう説明すると購入してくださる」といったパターンが見えてきました。その際に活用したのが9segs®(ナインセグズ)(※)のフレームワークです。
(9segs®:自社・競合ブランドの顧客を「9つの顧客セグメント」に分解し、セグメントごとの購入心理や購入行動データを分析するメソッド)

元々体系的には理解していましたが、実際にお客様の声に触れたことで腹落ちできました。それまではお客様を画一的に見てしまう傾向があったのですが、よりクリアに見えるようになったと感じています。

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