新型レヴォーグ、販売が好調な理由1
月間平均販売台数は3209台、出だしの販売は絶好調
2020年10月にスバルレヴォーグがモデルチェンジされてから、9カ月が過ぎた。2代目となる新型レヴォーグはミドルクラスステーションワゴンというコンセプトを踏襲して登場、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を受賞するなど、専門家の評価の高い車だが、果たして販売状況はどうなのだろうか。
レガシィの後継車として新たな時代を切り開く」というスバルの思いがネーミングに込められたレヴォーグは、かつてのスバル レガシィツーリングワゴンの後継車だ。レガシィがモデルを重ねるごとに大型化し、ボディサイズが日本の道路事情に合わなくなったこともあり、6代目モデルからはセダンのB4とSUVのアウトバックのみとなった。そして、新しいスバルのステーションワゴンモデルの旗艦としてレヴォーグが開発されたのだった。 さて、2020年10月15日に2代目に進化した新型レヴォーグの販売状況だが、すこぶる好調だ。2021年1月から5月までの月間の登録台数は以下の通り。
2021年1月:4692台(661%)〈※710台〉
2021年2月:3677台(388%)〈※948台〉
2021年3月:4892台(363%)〈1346台〉
2021年4月:1912台(861%)〈2222台〉
2021年5月:1095台(2671%)〈41台〉
*( )内は前年同月比、〈 〉内は前年登録台数(うち※は計算で得られた登録台数)
新型レヴォーグの平均販売台数は3209台で、目標とする月間販売台数の2200台をクリアしている。販売は好調といっていいだろう。
先行予約台数が8290台だったというから、月間販売台数のおよそ4倍で、上々の滑り出しだった。3月の決算期に大幅な登録台数増加が見られないことから、生産工場は常にフル稼働状態であると推察できる。
2021年4月からは登録台数が4分の1程度に落ち込んでいるが、これは年初からの新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言でディーラーへの来客減少やGWの長期休暇で登録ができなかったことが影響しているのだろう。現在も納車待ちは3カ月程度が見込まれるとのことで、登録台数は今後回復していくはずだ。
新型スバル レヴォーグの販売が好調な理由は何だろうか。
都内のスバルディーラーに尋ねてみると、まずコストパフォーマンスの高さが挙げられた。
とくにSTIスポーツは「ドライブモードセレクト」が搭載されており、プリセットされた5つのモードから車両特性を選ぶことができる。またカスタム設定も用意されるため、プリセットモードにとらわれない自由な設定もできる。ドライブモードセレクトでキャラクターはガラリと変わるため、運転好きには「まるで何種類もの車の運転を1台で体験できてコスパが良い」と評判なのだとか。
といっても、STIスポーツばかりが売れているのかといえばそうではなく、ベースグレードのGTをはじめ全般的に販売は好調で、どのモデルもコストパフォーマンスは高い。
アイサイトXも好評で、ほとんどのオーナーがアイサイトX搭載車を選んでいる状況だという。リセールバリューを気にするならアイサイトX搭載車を選ぶと高額査定が期待できる。
販売好調の理由はこの3つ
1、スバル最新技術と装備満載の全面刷新
2、同クラスのライバル車が不在
3、高品質な車両で弱点が少ない
1、スバル最新技術と装備満載の全面刷新
新型レヴォーグはプラットフォームをSGPに全面刷新し、低重心で操縦安定性が高い素性を持つ。視界が広く、前方の見切りもよく、安全運転しやすい設計。
エンジンは新開発のCB18型、1.8L 水平対向4気筒ターボエンジンを採用し、最高出力130kW(177ps)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm/1600-3600rpmを発揮する。燃料はレギュラーガソリン仕様。
アイサイトは人工衛星と連携するアイサイトXに進化するなど、スバルの最新技術も満載だ。前述したドライブモードセレクトも新開発で、STIスポーツに標準搭載される。スバルファンのみならず自動車好きの目を惹く充実した内容のモデルチェンジで、注目を集めていると考えられる。
2、正統派ステーションワゴンとして国産の同じクラスに敵なし
新型レヴォーグは排気量が1.8Lで、全長4755mmというボディサイズから欧州流にいえばDセグメントに相当する。日本流にいえばミドルクラス。
近年日本でステーションワゴンへの関心が薄れ、このクラスだけでなくそもそものラインアップが少ない。
つまり、真っ向勝負できるライバル車がいないのだ。 トヨタ カローラツーリングやマツダ6ワゴンをライバルとして思い浮かべる人もいると思うが、ボディサイズや車両価格、設計年度などの理由から直接競合することは少ない。いずれも、最新鋭の新型レヴォーグのライバルとは言えないだろう。 輸入ブランドまで選択肢を広げると、アウディ A4アバントやボルボ V60、BMW 3シリーズツーリング、メルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴンなど、ライバルは数多い。
しかし、車両価格が軒並み100万円以上も高価だ。ライバルとして取り上げられるのは、むしろ望むところだろう。 新型スバル レヴォーグが選ばれる理由として、300万円台のミドルクラスステーションワゴンでは、唯一無二の存在であることも大きい。
3、高品質かつ最新鋭、完成度が高く欠点が少ない
新型レヴォーグは操縦安定性の高さに貢献するSGPと、日常域でパワフルな新開発水平対向4気筒ターボを採用。さらに人工衛星と連携する最新鋭のアイサイトXも搭載する。その上、スバル自慢の4WDシステムは長年熟成が重ねられ完成度が高い。
自動車のメカニズムとして、燃費以外の弱点が見当たらないのだ。 たとえば、レヴォーグ STIスポーツの内装はインパネやトリムに本革が張られ高級感があるし、シートの出来のよく、腰をしっかりとサポートしてくれる。
気になったのは、内装の一部パネルがプラスチッキーで車両価格を考えると少々残念に思えたことと、シートに採用される本革は衣服の素材によっては滑りやすいのではと感じた程度だった。そんな些細な点しかネガティブな部分が見つからなかった。 先代からの買い替えはまだ続く上に、輸入車ブランドからの移行も 新型レヴォーグのここまでの販売はすこぶる好調だが、これは新車効果によるところも大きいと思われる。
というのも、先代モデルは6年間に渡って製造された長寿モデルで、モデルチェンジ直前の1年は1000台/月ペースの販売に落ち込んだ。逆にいえば新型を待ち望んでいた顧客が多いともいえ、その結果、300%以上もの前年同月比となったと考えられる。
またレヴォーグがレガシィツーリングワゴンの後継車ということで、買い替え母体としてレガシィユーザーも期待できる。新型レヴォーグの荷室容量は5代目レガシィツーリングワゴンと同等。サブトランクを含めると、5代目レガシィツーリングワゴンの荷室容量を上回る。
先代レヴォーグやレガシィツーリングワゴンからの買い替え需要はまだまだ続くことだろう。 サイズ感と価格では真っ向から対決するライバルが不在ということで、新型スバルレヴォーグの人気はまだ当分続きそうだ。