吉永社長に訊く:富士重工「スバル車爆売れ」なのに増産に踏み出さないワケ・・・2

最終更新日:2017/08/18 公開日:

生産能力の拡充をめぐっては、トヨタ自動車が2000年代前半から海外に相次いで新工場を建設。08年のリーマン・ショックによる販売減で工場の稼働率が低下し、利益を圧迫した経緯がある。好調な販売台数に対応する急激な生産能力の拡大は自動車大手の「トラウマ」となっている。

 一方、富士重が「1台足りない」戦略を貫くのには別の理由もある。吉永氏によると、米国の乗用車市場では1台あたり平均2800ドル程度の販売促進費がかかるというが、富士重は平均で約800ドル。消費者の“渇望”に訴えかける利益率の高いビジネスモデルを構築しており、吉永氏は「需要が供給を上回っていることが重要。いくら売れている車でも、ディーラーに在庫が並べば値引き販売が始まる」と強調する。

・「北米での一本足」

過去最高益を達成した15年3月期の連結業績は米国の販売台数増に加え、円安による貢献も大きい。対新興国通貨では円高基調に振れており、為替変動が減益要因になるとみる自動車大手の中でも唯一、16年3月期も円安で利益が増えると見通している。

欧米勢による値引き競争が激化する中国では、設定した目標台数を撤回。中国向けの輸出車も一部を米国用に振り向けるなど、同社の中で北米市場の存在感は増す一方で、大黒柱の北米が失速すれば、業績を左右することは間違いない。

「慎重になって機会を逃してもいけない」

吉永社長3

こう話す吉永氏。一本足打法の軸足を置く北米で、絶妙なかじ取りを続けることができるかが、今後の成長を占うカギとなりそうだ。

 

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