スバル 「世界生産」に変化が起きている

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日本の乗用車メーカー8社の2016年の世界生産台数が発表になった。マスコミ各社は、4年連続で販売台数が世界一だったトヨタ自動車(グループのダイハツ工業と日野自動車を含む)がフォルクスワーゲンに抜かれたことを大きく報じたが、業績好調な富士重工業(スバル)が世界生産で102万台と、初めて100万台の大台を突破し、業績低迷の三菱自動車工業の107万台に迫ったことが隠れたニュースだ。2017年はスバルが三菱自を逆転する可能性が出てきた。

スバルの世界生産台数は2000年代後半から2011年まで60万台前後で推移し、120万台前後の三菱自とは2倍近くの差があった。リーマン・ショックの影響で、近年では最も生産台数が落ち込んだ2009年で比較しても、79万台の三菱自に対してスバルは49万台と、格差は歴然としていた。

レガシィなど北米で人気

ところが、足元のスバルと三菱自の世界生産台数は逆転する勢いだ。スバルの2016年の世界生産台数は前年比9.2%増の102万4604台で、5年連続で過去最高を更新した。これに対して、三菱自は同11.9%減の107万3514台で2年連続のマイナスとなり、明暗を分けた。三菱自は2016年4月に発覚した軽自動車の燃費不正問題で国内販売が同16%減少したほか、海外市場も振るわなかった。



スバルは世界販売の6割を米国が占め、米国市場の販売台数ではトヨタ、日産、ホンダに次ぐ4位の日本車メーカーとなっている。レガシィは北米市場をメインターゲットに開発され、インプレッサ、フォレスターとも生産が販売に追いつかない人気が続いている。このため、米国インディアナ州の現地工場では、トヨタからカムリを受注生産していた製造ラインをスバル専用に改めるなど、日米で生産拡大を急ピッチで進め、初の100万台を達成した。

スバルは2017年、前年比8%増の111万台を生産する計画で、6年連続で過去最高、2年連続の100万台超えを目指している。三菱自は2017年の目標を明らかにしていないが、このまま低迷が続けば世界生産台数がスバルに抜かれる可能性がある。

トランプ政権の影響

日本メーカーの2016年の世界生産はトヨタ897万台、日産555万台、ホンダ499万台、スズキ294万台、マツダ158万台、ダイハツ127万台の順になる。軽が主力のスズキやダイハツと単純比較はできないが、現在、生産台数では最下位のスバルが三菱自を抜き、国内7位に浮上するのか。スバルは輸出比率が6割と、マツダと並んで輸出が多いメーカーだ。とりわけ米国依存が大きいスバルは、米トランプ政権の行方しだいでは、日本車の輸出に何らかの規制が設けられる可能性があり、予断を許さない。

スバルと三菱自は、それぞれ戦前の中島飛行機と三菱重工業が前身で、当時は日本を代表する戦闘機メーカーとして覇を争った。戦後は販売、企業規模とも三菱自が勝ったが、1992年以降はスバルインプレッサWRXと三菱ランサーエボリューションが好敵手となるなど、モータースポーツや商品開発でライバルと目されることが多かった。2017年は世界生産台数でも両社はライバル争いを演じることになる。

 

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