スバル富士重工業、中間決算発表 円高影響により営業利益 前期比34%減
富士重工業(スバル)は11月2日、2017年3月期の第2四半期累計(4~9月期)連結決算を発表するとともに、通期の業績予想を下方修正した。営業利益は従来予想より270億円減額の3730億円(前期比34%減)とした。
4~9月期は為替の円高が817億円の減益要因となり、営業利益は前年同期比27%減の2085億円となった。世界販売は8%増の51万2000台と好調で過去最高だった。純利益は15%減の1638億円。
通期では世界販売を1万2700台上方修正し、過去最高の106万2400台(前期比11%増)と計画している。前提為替レートを1ドル104円と従来比2円の円高方向に見直し、為替変動による通期営業利益の減益要因は1965億円を見込んだ。純利益予想は従来比で70億円下方修正の2780億円(前期比36%減)に見直した。
記者会見した吉永泰之社長は、通期予想について「為替影響を除けば39億円とわずかだが増益を確保する。エアバッグのリコール費用も多額だが、これも飲み込んでの実質増益になる」と、評価した。
・2016年4~9月期(第2四半期累計)の連結決算
売上高は 1兆5777億円(前年同期比-1.5%)
営業利益は 2085億円(-26.9%)
経常利益は 2278億円(-20.1%)
純利益は 1638億円(-15.2%)
スバル車の全世界販売台数は、前年同期比8.4%増の51万2000台。国内販売では、軽自動車が前年を下回ったものの、登録車では『フォレスター』などが順調だったことから、同2.3%増の6万8000台となった。海外販売では、北米を中心に『レガシィ/アウトバック』が好調に推移し、同9.4%増の44万4000台となった。北米販売台数は8期連続、全世界販売台数および海外販売台数は5期連続で第2四半期累計期間として過去最高となった。
連結売上高は、販売台数の増加があったものの、為替変動の影響などにより、同1.5%減の1兆5777億円と減収。損益は、販売台数の増加や原価低減の進捗などにより、エアバッグインフレータに起因する品質関連費用を中心とした諸経費や試験研究費の増加を吸収したものの、為替変動が影響し、営業利益は同26.9%減となる2085億円となった。経常利益は同20.1%減の2278億円、当期純利益は同15.2%減の1638億円となった。
・通期連結業績見通しは、為替変動の影響を織り込み、下方修正。
売上高は3兆1800億円(前回予測比-100億円)
営業利益3730億円(同-270億円)
経常利益3970億円(同-130億円)
純利益2780億円(同-70億円)
加えて、米国の新車市場について「8月から10月まで連続で全需はマイナスになった。全需についてはピークアウトしたのだろうと見ている」と述べた。
市場では「各社ともインセンティブを相当積んで販売している。とりわけセダン系は厳しい。今後については楽観できない状況にある」と、警戒を示した。
そのなかで同社は米市場で10月まで59か月連続と、ほぼ5年に渡って前年同月実績を上回っている。吉永社長も「勢いは衰えていない」と評価する。11月からは新たに「インプレッサ」の現地生産にも着手、慢性的な品薄の改善にもつなげる。
もっとも、市場に陰りが出ているだけに「これからが非常に大切」とし、利幅を崩さないのが特徴の「スバルのビジネスモデルをしっかり守っていきたい」と、引き締めている。