スバル人:SUBARUびと 車両開発統括部パワーユニットの開発統括
安心と愉しさを支えるSUBARUの技術者たちの挑戦:品質のプロフェッショナルが語る、クルマづくりの現場で大切にしているこだわりや情熱。SUBARUならではの安心と安全が生まれる裏側には、見えない部分で支える多くの努力と工夫があります。品質向上への挑戦を通じて、お客様に信頼されるクルマを届ける技術者たちの想いに迫ります。
仕事は違っても、「笑顔をつくる」という想いでつながる「SUBARUびと」。様々な部署で働く「SUBARUびと」を、仕事内容や職場の雰囲気を交えてご紹介します。今回は、2024年12月に発表のクロストレックに新搭載される「ストロングハイブリッド」の開発に携わるメンバーにインタビューしました。
里村 聡(さとむら さとし)
1992年中途入社。大学は機械工学部で、卒業研究ではトライボロジーを専攻。入社後はトランスミッション設計部でオートマチックトランスミッションのハード設計、電子技術部で5速AT・CVT・シンメトリカルAWD・マイルドハイブリッドの制御設計を担当し、2代目レガシィ以降のほとんどのSUBARU車開発に携わってきた。その後は車両開発統括部で、パワーユニットの開発統括業務に従事している。
エンジニアをまとめ上げ、クルマとしての性能を追求
里村:SUBARUが国内市場に向けて販売する初めてのストロングハイブリッド車(以下、SHEV)の開発において、私は車両性能のとりまとめを担当しました。クルマは数多くの部品・システムで成り立っていますが、その一つひとつに目標性能があり、それらが組み合わさって「クルマ1台の性能」となります。言い換えれば、一つひとつの部品・システムが目標性能を達成できなければ、燃費性能・動力性能・走破性能などといったクルマ1台としての性能を実現することができません。そんな中で私は、性能評価を行う実験部門と協力しながら、1台のクルマとしての性能をいかにまとめ上げるか?に取り組んできました。例えば、ある部品で目標性能が達成できないとなると、クルマ全体に与える影響を確認したうえで、他の部品でどうやってカバーするか?を検討するといった具合です。
時には厳しく、すべてはもっといいクルマづくりのため
里村:私たちが確認している性能の項目は100以上に及びます。私はもともと設計部門で10年、制御開発部門で10年、実務を担当してきたので、エンジンやトランスミッションについての知識はあるものの、足回りやボディなど、業務で携わってこなかった部分も含めて取りまとめるのは難しい部分がありました。エンジニアたちは自分の担当分野に集中しているので、全体を見ている私たちとは考え方にギャップが生じる場合もあります。それでもいいクルマをつくるためには、時には踏み込んで言うべきことを言わなければなりませんので、お互いに理解しあうのには苦労もありました。私なりに「もっとこうしたらいいのでは?」「これはちょっと違うのでは?」と思ったときは、自分の考えがいいクルマづくりにつながるのかを自問自答してから、エンジニアに伝えるようにしています。上司からは「私たちの仕事は嫌われることだ」と言われたこともありますが、熱心に開発に打ち込むエンジニアの皆さんの姿を見ていると、なかなか嫌われ者にはなりきれませんね(笑)
SUBARUらしいクルマづくりを、若手メンバーにも継承
里村:今回のSHEV開発を通じて、若手メンバーたちが改めて「シンメトリカルAWD」がもたらす優れた走行安定性が、いかにSUBARUらしいクルマづくりにとって重要かを実感してくれたことが、大きな成果の1つだと感じています。開発の過程では、北海道にある美深試験場のテストコースで、冬場の雪が降り積もる時期にあえてコンディションの悪い道をつくって試験走行を行いました。これにより、悪条件下におけるシンメトリカルAWDの強さを再確認でき、SUBARUの提供価値である「安全と愉しさ」を誇りに思ってもらえたと信じています。
クロストレックはコンパクトなSUVながらも、アウトドアでもしっかり愉しめる本格派のクルマです。今回新たなハイブリッドシステムを導入したことで、そのキャラクターを壊すことなく、その魅力をより高めることができたと自信を持っています。アクセルを踏んだ際の加速はこれまで以上に力強く、高速道路での合流なども楽にこなせます。運転が苦手な方でも運転が上手になったように感じていただけると同時に、そのレスポンスの良さは運転が好きな方にも愉しんでいただけると思います。ぜひご体感いただきたいですね。
広い視点で開発に携わり、お客様に満足いただける性能を追い求める「SUBARUびと」。ぜひ、次回のコラムもご期待ください。
- PREV:
- レイバックの一部改良モデルを発表