アイサイト 販売台数が50万台を突破!
アイサイトの世界販売100万台は2016年11月に達成しているが、今度は同テクノロジーの生まれ故郷である日本国内の販売台数が累計50万台を突破したのだ(2017年2月時点)。
フロントウインドウ内側に配置されたステレオカメラだけで自動ブレーキや追従クルーズコントロールといった運転支援を実現するアイサイト。カメラを使うことで歩行者のみならずサイクリストやライダーも認識できる技術は世界的にも先進安全技術をリードする存在だ。
現在のアイサイトは「バージョン3」と称されているが、その最初のシステムが搭載されたのは2008年5月にマイナーチェンジしたレガシィ(4代目)からだった。以来、搭載車種を増やし、現在はBRZとWRX STI以外の富士重工業が生産するスバル車(OEM以外)に搭載している。そうして積み重ねた8年10カ月で50万台のアイサイト搭載車を日本市場に送り出したというわけだ。
もともとはフラッグシップモデルであるレガシィから展開してきたテクノロジーだが、累計販売台数の構成比をみればわかるように、水平対向エンジンを積むラインナップの中ではエントリーモデルに位置付けられるインプレッサの比率がもっとも高くなっている。2016年にデビューした現行インプレッサでは全グレードにアイサイトと歩行者用エアバッグが標準装備されているのも知られているところ。いまやスバルのクルマは、先進安全技術の普及を牽引する役割も果たしているといえる。
先進安全技術の取り組みは1989年から始まっていた!
では、なぜスバル・アイサイトが先進安全技術の象徴といえるポジションを得たのか。それはライバルに対して、長い歴史を誇っているからだ。アイサイトという名前を付けたのは2008年だが、それ以前からステレオカメラを用いた先進安全技術を磨き、一部は市販してきた。
最初に搭載された、アイサイトの前身といえるメカニズムの名前は「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」。なんと1999年にレガシィ・アウトバックに採用されている。この段階ではミリ波レーダーと併用していたが、センサーの数や種類を減らすことはコストダウンにつながる。そこからの研究開発により、ステレオカメラだけで前方の物体との距離を測る精度が上がり、自動ブレーキや追従クルーズコントロールを実現できるという目処が立ち、そうして生まれたのが初代アイサイトであった。
ただし、最初のアイサイト(通称バージョン1)の「衝突被害軽減ブレーキ」は、あくまでも被害軽減であり完全停止までは行わないものだった。いっぽう、追従クルーズコントロールについては、この段階で全車速対応となっていた。いまだに渋滞対応のできない追従クルーズコントロールをリリースしているメーカーも少なくないが、2008年時点で全車速対応を実現できたのは、まさに開発期間のリードが効いていることを示すエピソードだ。なにしろADAの市販まで10年を要している。つまり、先進安全技術の開発は1989年から始まっていたのだ。
そして2009年には自動ブレーキを完全停止まで対応するよう進化させた。このときアイサイトにver.2とバージョンアップを示す表記が追加されている。なお、ステレオカメラのハードウェア自体はバージョン1と同様で、この段階では片側30万画素相当のモノクロCCDを使っていた。
その後、スバルのブランニューモデル「レヴォーグ」(2014年発売)に搭載されたアイサイトがver.3へとバージョンアップして現在に至る。センシングを一手に担うステレオカメラは片側120万画素相当のカラーCCDとなり、より詳細に前方の状況を検知できるようになった。たとえば、カラー化によりブレーキランプの点灯を認識できるようになったことで、追従クルーズコントロール時に前方車両が実際に減速することを察知でき、きめ細やかな制御を実現していたりするのだ。
こうして、速度差50km/h内であれば衝突被害軽減もしくは衝突回避を可能とする自動ブレーキと全車速対応追従クルーズコントロールの性能を磨いている。さらに最新のアイサイト・バージョン3は、ステアリング操作アシストによる車線中央維持&車線逸脱抑制も可能にしている。「ぶつからない」から「自動運転技術」への進歩といえる。最新バージョンでは、それまで直進時に有効だった車線中央維持機能を進化させ、かなり回り込んだコーナーでも白線を認識してステアリング操作をマシンに任せることができるようになっているほどだ。
さらに進化した「バージョン4」のウワサも聞こえる昨今だが、積み重ねてきたノウハウが性能に直結するのが先進安全技術。将来的な自動運転に向けて、スバル・アイサイトの進化はまだまだ続くことは間違いない。
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