社長に訊く~富士重工業株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 吉永 泰之~・・・国沢光宏

最終更新日:2017/08/18 公開日:

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多くのスバルファンは「最近欲しいモデルが少ない」とおもっているんじゃなかろうか。かくいう私も同じ。そこでイキナリ内角高めに直球を投げ込んでみました。

国沢光宏:スバルは熱烈なファンが多いので、最初から厳しい質問になります。現行レガシィ以後「スバルは変わったな」という印象を受けます。

クルマが好きな方に支持して頂こうという方針は変わらないです。でもレガシィは一番大きな市場であるアメリカのお客様に「幅が狭い」とずっと言われ続けていました。アメリカでレガシィのユーザーに喜んでもらおうとすればボディを大きくするしかなかったのです。

よく解ります。けれどアメリカを向いた、というのは日本のスバルファン全てが感じたことです。日本を諦めた、とまで思っている人までいます。

現行レガシィの企画をしているときは世界規模で車種展開を考える戦略本部長でした。ずっと国内販売を担当してきたため、車幅を広くしたら日本では厳しいな、と解っていました。そういった意味では日本を諦めたと言われても仕方がないかもしれません。さらに軽自動車の生産を止める、なんてことも同時にやりました。

軽自動車の廃止もスバルファンからすれば不評です。そのあたりでスバルファンの不満は頂点に向かいます。

国内はどうでもいいということでなく、順番に行こうという計画なんです。まず業績の良いところを伸ばし成功すれば、次に国内も力を入れられます。逆の手順は難しいですから。それくらいスバルの状況が厳しかったんです。

アメリカを拡充し、その後、日本などに考えた商品を出していく、というビジョンは今まで聞いたことがありませんでした。少し身を乗り出します。

私が中心になって作った計画によりレガシィは大きくなるし、軽自動車の生産を止める事で、国内が非常に厳しくなることは解っていました。だから「厳しい戦力を考えたおまえが国内を担当して責任を取れ」ということで現行レガシィを発売した時点で国内営業本部長になりました。

吉永さんの予想通り2009年に出した現行レガシィの売れ行きは伸び悩みます。私も酷評して思い切り足を引っ張ったかもしれません。

厳しい戦略だという予想は見事的中します(笑)。同時に国内の販売責任者でしたから凄く苦労しました。ディーラーさんからレガシィの車幅を元に戻してくれ、というリクエストをたくさん頂いたほどです。でもそんなことは出来ません。じゃ値下げして欲しいということになります。でも値下げしても販売は厳しいでしょう。完全に追い詰められたんです。

結果的に起死回生の一手がアイサイトになるのですね‥‥。

先ほども説明した通り2010年3月の時点で追い詰められちゃってるんです。再編によって国内のディーラーを10%閉店。赤字は止まったんですけど、レガシィの先が厳しい。みんなで話合った結果、幅は変えられないからアイサイトで勝負しようということになりました。

私はアイサイトの前身に当たるADAの頃から応援してたんですが、開発担当者に「社内では認められず厳しい立場にある」という話をたくさん聞きました。本格的な導入は吉永さんが決めたんでしょうか?

私も強固な反対派でした。2010年3月時点で「絶対売れない!」とディーラーの皆さんの前で公言していたほどです。しかし副本部長の2人が「とにかくアイサイトを試して欲しい!」と群馬の研究所に連れて行かされ乗せられました。すると「あれ?これはいいぞ!」と。

ということは発表直前までアイサイト反対派の親分だったんでしょうか?

(キッパリ)そうです! 手応えを感じた時も黙って帰ったほどです。土日にジックリ考えた結果「他に手が無い」と思いました。週明けに戦略を発表する機会があり、その時に私は「アイサイトで行こう!」と檄を飛ばしたんです。回りの人間も唖然としてましたね。先週と全く違うことを言ったんですから。酷い話です。(大笑)。

アイサイトの導入の話はいろいろ聞いてましたが、真実を初めて知りました。

半ばヤケクソになって決めたんです(笑)。そうしたら次に国内販売から「そこまで言ったなら20万円じゃなく10万円にして欲しい」とプレッシャーを掛けられた。もうアイサイトに賭けちゃってますから行くしかない。役員会議で値下げを提案したところ、手ひどく拒否されました。2週間後にもう一度強行に提案し、何とか了解をもらい本格的に動き出します。

それまでレガシィのTVCMはカッコ良いグランドツーリングの絵柄でした。イメージ戦略の変更も不評だったように思います。

イメージ戦略は変更は不評でした。レガシィのCMは定番のタイプとアイサイトの2本を作る予定だったのですが、退路を断ってアイサイトだけにしろ、と強行したんです。それで社内の雰囲気がガラリと変わりましたね。危機感を持ってくれた。その結果、石田ゆり子さん出演の“驚き”CMになりました。

続きはこちらから(http://autoc-one.jp/special/1546567/page01.thtml)

富士重工業株式会社 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者) 吉永 康之 (ヨシナガ ヤスユキ)

1977年4月

富士重工業株式会社 入社

1999年7月

国内営業本部 営業企画部 副部長

1999年10月

国内営業本部 営業企画部長

2001年6月

スバル営業本部 日本営業第三部長

2002年6月

スバル戦略本部 スバル企画室長

2003年10月

スバル戦略本部 副本部長 兼 経営企画部長

2005年4月

執行役員 戦略本部副本部長 兼 経営企画部長

2006年6月

執行役員 戦略本部長

2007年4月

執行役員 スバル国内営業本部長 兼 販売促進部長

2007年6月

常務執行役員 スバル国内営業本部長

2009年6月

取締役 兼 専務執行役員 スバル国内営業本部長

2011年6月

代表取締役社長 COO(最高執行責任者)

2012年6月

代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)

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