あの硬派なスポーツセダンが上質なインテリアを纏った!“500台限定”スバル WRX特別仕様車「スポルヴィータ」へ試乗
環境性能や内外装の質感にこだわった500台限定の特別仕様車
2014年に登場した新型WRXは、インプレッサWRXから数えると4代目のモデルとなる。
スバルの「走りのフラッグシップ」という立ち位置は変わらないものの、超熟の高回転型ボクサー「EJ20ターボ」と「6速MT」を搭載した、モータースポーツ直系のスポーツセダン「WRX STI」に加えて、新たに「WRX S4」をラインナップ。
WRX S4は歴代WRXが築きあげてきた運動性能をキープしながらも、歴代WRXが最も苦手としてきた環境性能/燃費性能、快適性能、そして内外装の質感までこだわった「新時代のスポーツセダン」と言う位置づけである。
「WRXだから…」と我慢していたインテリアデザインに手を加えた
パワートレインは次世代ボクサーである2L直噴ターボ「DIT」に、高トルク対応でダイレクト&レスポンスに優れる変速特性「スポーツリニアトロニック」の組み合わせだ。
WRX STIと一切変わらないねじれ剛性40%以上アップ、曲げ剛性30%以上のアップの軽量高剛性ボディに、ステアリングレスポンス/リアグリップ/フラットライドがテーマのシャシーはWRX STIと同じアイテムが奢られる。サスペンションは走りと快適性を高いレベルで両立させるWRX S4専用のセットアップとなっている。
エクステリアはスポーツモデルらしい力強い表情ながらも、WRXの伝統のフェンダー処理や控えめなリップスポイラーはスマートな印象だ。
インテリアはこれまで「WRXだから…」ということで我慢していたデザインや雰囲気造りはもちろん、快適性や静粛性などにも今まで以上に気を使っている。
更にスバル先進安全支援システムのアイサイト(バージョン3)や先進機能をパッケージ化したアドバンスドセイフティパッケージなど「走りを極めると安全になる」という世界トップレベルのアクティブ&パッシブセイフティと相まって鉄壁の安全性を実現している。まさに“鬼に金棒”の一台だ。
目指すは世界!スポーツセダン活性化のため、S4をシッカリ育てる
販売は発売当初はWRX STIの人気が高かったが、今はWRX S4が多くの割合を占めている。更には輸入車からの乗り換えが予想以上に多いそうで、その数に販売拠点はもちろん開発陣も驚いたそうだ。
実は「誰が持っても高性能を感じやすい」、「ハイスペックなのに乗りやすい」と言う日本車は意外と少ない。更に安全装備やプライスなども含め、ユーザーに高く評価された証拠とも言えるだろう。
ただ、ライバルを見るとまだまだ上がいるのも事実だ。
もはや日本車にはライバルは不在で、世界と戦う必要がある。そこは開発陣もよく理解しているようで、開発責任者の高津益夫氏は「このカテゴリーを活性化するためには、スポーツセダンをもっと知ってもらう必要があります。そのためにはS4をシッカリ育てる必要がある」と語っている。
まさかWRXの記事で「インテリアが一番の特徴」と書くとは…
WRX S4の特別仕様車「スポルヴィータ」だ。ちなみにスポルヴィータはイタリア語のSportiva(スポーツ)とVita(人生)を組み合わせた造語である。
開発コンセプトはWRXの魅力を更に引き上げる「大人のスポーツセダン」だ。
注目はイタリアの老舗革メーカー「マリオレヴィ社」とのコラボレーションによるインテリアである。まさかWRXの記事で「インテリアが一番の特徴」と書くとは夢にも思わなかった(笑)。
鮮やかなタン&ブラックの2トーンカラーでコーディネイトされたレザーシート、シートに合わせてコーディネイトされたトリムやステッチ、インパネ周りのピアノブラックの加飾パネルなどにより、WRXのスポーティさにモダンな印象がプラス。現行モデルで質感は上がったものの、どこかビジネスライクに感じていたインパネ周りの雰囲気も良くなっている。
日本のスポーツモデル=スポーティな黒内装という風潮が強いが、色使いで質感や雰囲気もアップする証拠だ。
シートに座った感触は「ベース車よりも柔らか」
エクステリアもインテリアに合わせて変更が行なわれており、LEDヘッドランプやアルミホイール、ウィンドウモール、サイドガーニッシュ、トランクガーニッシュを金属調シルバーに変更。ボディカラーはスポルヴィータ専用色となる「ラピスブルーパール」を含めて計5色を用意している。
メカニズムに関しては2.0GT-Sアイサイト+専用ビルシュタイン&245/40R18タイヤ仕様と全く同じで、ベース車ではオプション設定のアドバンスドセイフティパッケージは標準装備となっている。価格は同仕様のベース車+21万6000高の390万9600円。販売台数は限定500台となっている。
専用ビルシュタイン&245/40R18タイヤで、走りの質感は、「これはこれでアリ!」
走りに関しては、個人的にはスポルヴィータのキャラクターには「専用ビルシュタイン&245/40R18タイヤ仕様」ではなく、標準の225/45R18サイズの組み合わせのほうがふさわしいと思っていたのだが、実際に乗って見ると「これはこれでアリだなと」。
以前乗った245仕様はまだ走行距離が少なくアタリが取れていなかったのか、それとも個体差だったのかは解らないが、サスペンションの動きが渋い上に吸収性も悪く「WRX S4らしくないな」と感じていたのだが、今回乗ったスポルヴィータは足の動きもしなやかでスムーズ、操舵も自然で滑らかな印象だったので、これなら「245仕様でもOKかな」と。恐らく、こちらが本来の乗り味だろう。
スポルヴィータは限定500台のモデルであるが、高津氏は「私がWRX S4で目指している形の一つ」と語っており、市場の反響次第で今後カタログモデルに昇格する可能性もあるだろう。
そう、WRX S4の新しい挑戦はまだまだ続くのである。(山本シンヤ)
メーカー希望小売価格:390万9,600円[消費税込み]