群馬大学とスバル、が共同研究講座「次世代自動車技術研究講座」を設置 藤貫哲郎
スバルと群馬大学は、群馬大学大学院理工学府内に共同研究講座「次世代自動車技術研究講座」を設置した。産学連携を加速させ、新技術開発を進めるため。自動車の交通事故を減らしたり、乗車時の快適さなどを追求したりする研究をする。
2005年の富士重工業株式会社(現SUBARU)群馬製作所と群馬大学との包括協定締結以降、大学院連携講座や共同研究などで連携体制を構築してきました。これまでの連携実績を元に、世の中の変化や技術の進歩に合わせ、より速くより柔軟な包括的対応ができる共同研究体制とするため、さらには社会ニーズに基づく教育プログラムを開発するため、共同研究講座の設置に至りました。
新型レヴォーグの先行受注が好調なスバルは、「安心と愉しさ」を追求したクルマづくりをさらに確かなものとするために「2030年に死亡交通事故ゼロ」の実現を目標に掲げて、研究開発を推進している。今回設置した次世代自動車技術研究講座は2030年を通過点と捉え、さらにその先の時代に求められる自動車技術創出のためのイノベーション拠点にすることを、群馬大学とスルバが協働して目指す。
本講座では、「もっと笑顔でもっと安心な、愉しい生活を人々にもたらすクルマ」を追求し、クルマの新たな価値を創出する研究開発を行う。また、本講座を核として、スタートアップ企業や地域企業等の参画、他研究機関との連携も進め、学生・研究者・社会人の人材育成や社会貢献も含めた、群馬大学-スバル型の独自の産学連携プラットフォームを構築。そして、これまで個々に進めていた共同研究を統括し、群馬大学が持つ理工系、医学系、保健学系、情報系の知のリソーセスを結集し、スバルの研究課題を解決するための取り組みを、群馬大学-SUBARU間で戦略的、包括的、組織的に進めるフレームワークも本講座が担う。
活動期間は、2020年から2023年の3年間を「第1期、活動基盤整備フェーズ」と位置付け、3つの領域の取り組みからスタートする。4月1日付で設立していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になっていた。すでに活動を始めており、現在は講座の受講生を募っているという。
安全領域では、死亡交通事故ゼロから、さらには究極の交通事故ゼロを目指す。人とクルマのインタラクション、クルマと周辺交通環境のありたい姿を追求し、様々なセンシング機能と人工知能を搭載する次世代高度運転支援車両や自動走行機能搭載車両等への適用研究と社会実装を通して、もっと「ぶつからない安全なクルマ」を実現していく。
感性領域では、クルマに対して人が感じる「安心」と「愉しさ」を、医学・人体科学に係わるアプローチからひも解き、設計可能な工学に結びつけていく。乗員や交通参加者の脳が判断するメカニズムを、視覚、三半規管が持つ聴覚や平衡感覚、振動や圧力等を感じる人体感覚器に着目して解明し、これをクルマが持つ人間拡張感覚の増幅や最適化、車両制御技術への応用研究を進めて、次世代技術として確立していく。
設計プロセス改革領域では、開発初期段階から仮想空間でクルマのすべての機能・性能・品質について設計-評価と造りこみを効率的に行うためのプロセスや手法を開発する中で、メカニズムの解明が必要な現象や、解析や評価、予測手法等の開発を要するテーマを選出し、研究を行う。
① 安全領域
死亡交通事故ゼロから、さらには究極の交通事故ゼロを目指します。
人とクルマのインタラクション、クルマと周辺交通環境のありたい姿を追求し、様々なセンシング機能と人工知能を搭載する次世代高度運転支援車両や自動走行機能搭載車両等への適用研究と社会実装を通して、もっと「ぶつからない安全なクルマ」を実現していきます。
② 感性領域
クルマに対して人が感じる「安心」と「愉しさ」を、医学・人体科学に係わるアプローチからひも解き、設計可能な工学に結びつけていきます。
乗員や交通参加者の脳が判断するメカニズムを、視覚、三半規管が持つ聴覚や平衡感覚、振動や圧力等を感じる人体感覚器に着目して解明し、これをクルマが持つ人間拡張感覚の増幅や最適化、車両制御技術への応用研究を進めて、次世代技術として確立していきます。
③ 設計プロセス改革領域
開発初期段階から仮想空間でクルマのすべての機能・性能・品質について設計―評価と造りこみを効率的に行うためのプロセスや手法を開発する中で、メカニズムの解明が必要な現象や、解析や評価、予測手法等の開発を要するテーマを選出し、研究を行います。
・群馬大学長 平塚浩士
「このたびの、株式会社SUBARU様との「次世代自動車技術研究」に関する共同研究講座の設置は、これまでに本学が進めてきた企業のニーズと大学の研究者の持つシーズのマッチングによる個別的な共同研究とは異なり、次世代自動車技術の課題解決にあたって、SUBARU様の技術者と本学の理工学、医学、保健学、情報学などの分野の研究者が包括的に連携して共同研究を進め、課題解決と関係人材の育成に取り組むことを目指します。
大学では、研究に参画する教員や大学院生、学生は課題解決の研究の推進のみならず、企業の考え方や現場を知る実践的な機会が得られます。企業の皆様には学問的な知見に基づき新しい視点からの技術のとらえ直しの機会が得られ、両機関の全体の活性化に繋がることが期待されます。
本共同研究講座が群馬県民はじめ多くの人達の豊かな生活を支える、安全安心で愉しいクルマ作りの研究に画期的成果を収め、同時に関連する人材が育つという、“新しい共同研究の群馬モデル”を構築すべく頑張って参ります。」
・SUBARU 執行役員 CTO(最高技術責任者) 技術統括本部長 兼 技術研究所長 藤貫哲郎
「お客様に笑顔をもたらす次世代自動車技術の研究開発の一環として、これまで、国立大学法人群馬大学様と続けてきた共同研究の取り組みを新たなフェーズへと進めます。
今回設置する共同研究講座が、ポストCASE時代を切り開く新たな技術や新しい価値を生み出し、人々の日々のくらしを豊かにする安心で愉しいクルマと社会づくりのための社外イノベーション拠点のひとつとなるよう力を入れて行きます。また、SUBARUの組織改革/人材開発改革の一環として、共同研究講座での研究・育成活動/人材交流を、社内組織や技術者/研究者の活性化につなげていくとともに、社内研究者としての地位を確保し、キャリアアップの道筋のひとつとして制度の中に組み入れて行きます。さらに、地元企業や他大学との連携、学生・院生や研究者との研究活動や交流を通じ、群馬県を中心とした地域社会や大学での教育改革に貢献していきたいと考えています。」