【スバル レヴォーグ 試乗】よくできた姉さん女房的な アイサイト Ver.3 と誤後進制御…岩貞るみこ

最終更新日:2017/01/29 公開日:

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『レヴォーグ』に装着された、「アイサイト Ver.3」について注目したい。他社がレーザーやレーダーで障害物を認識するのに対し、唯一、ステレオカメラを使った性能のよさで勢いに乗るスバルである。

その性能は高く評価され、販売台数にも大きく貢献しているようだ。安全は商売にならないという時代から、一気に風向きを変えた立役者といえよう。

今回は、カメラの画像がカラーになったことで、赤く光る先行車のブレーキランプが認識しやすくなったほか、これまで相対速度差30km/hだった衝突回避可能速度が、50km/hにまで上がっている(雨の日で滑りやすかったり、荷物満載のときなど条件によってはぶつかります!)。



以前、Ver.2のときに、「夜の視認性がねー」とか「も少し速度が上がっても大丈夫なようにねー」と、開発担当者の方が今後の課題を言っていたけれど、それをしっかりクリアしてきたということだ。

そして今回新たに、アクティブレーンキープを採用してきた。アイサイトのカメラが白線を見て、車線中央を走るようハンドルをきってくれるというものである。これがなかなかの「性格のよさ」なのである。

ハンドル操作にドライバーの意思が感じられるときは介入してこないくせに、ふら~っと気を抜いた動きになると即座に、すすっとハンドルを補正してくる。この動き始めが実に素直ででしゃばらず、見事なのである。ならばとハンドルを持つ握力をゆるめて、どのくらい勝手に走り続けてくれるのかを見極めようとすると、すかさずアシストを中止してしまう。「あんたねえ、甘えてんじゃないわよ」と言わんばかりである。すごい。このさじ加減。よくできた姉さん女房みたいだ(深い意味はありません)。

さらに、アイサイトではないものの、後進するときの事故削減に対して推奨したい機能が採用された。

1)後進の最高速度を事前に三段階に設定できる
2)リバースにシフトレバーを入れた状態でペダルをがっつんと踏んでも出力がでない

この2点である。

1)は、時速10、20、30km/hと設定できる。実際にやってみると、後進時に使う速度域は一般的に5km/h程度であり、10km/hも出すとやたら怖い。30km/hも出そうという人は、クルマを輸出する船に載せる凄腕ドライバーか、夜逃げであわてなくてはいけない人くらいではないかと思われる。私なぞ、さっそく10km/hに設定してしまうクチだ。

2)は、同じくシフトレバーをリバースに入れた状態で、がっと思い切りアクセルペダルを踏んでも、「後進でこんなに勢いよくダッシュするわけなかろう」と判断して出力が出ない仕組みだ。じわり…と踏み込んでいけばもちろん速度は出る。でも、がっと勢いよく踏むと出ない。面白いほど出ない。いや、じりじりとは進むのだが、想定していた速度にはまったく至らないのだ。ムキになっていろいろ試してみたが、違いをきちんと判断してくれるのである。

ありがちなリバースでの暴走事故(コンビニに突っ込むとか、立体駐車場から落ちるとか)は、(ペダルを踏み間違える)>(自分が思っていた方向と違うほうに進んであわてる)>(あわててクルマを止めようとして、さらにアクセルペダルを踏み込む(踏みかえられない))>(急加速=ぶつかる)という仕組み。特に、高齢者になればなるほど、違うペダルを踏んでいるという間違いを認識できず、踏みかえる行為に至らない傾向にある。そんななか、このシステムは、非常に有効であるといえる。

いいなあ、レヴォーグの安全システム。今後、早くほかのスバル車にも展開してほしい。

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